最果てでもお約束。
はぁはぁはぁはぁ。
あの日もぼく達は逃げていた。卒業式が終ってまだ数日。月末までは学校に籍があるんだと聞かされていた日々。
たまたまだった。たまたま、ゆうは『真睡』達のコミュ(携帯ネットワーク)にヒットしなかった。当時はまだ例の惨事から日も浅く、不審者狩りが熱狂的に行われていた頃。奴等は喜び勇んで追って来た。商店街の表裏、本屋の影、スーパーの死角、学校の倉庫。奴等はどこにでも現れ、まったく追撃の手を休めはしない。ぼくの左手にはゆうの右手だけ。武器も知恵も勇気も無く、狂気の追い風から身を守る術は何も無かった。
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