最果てでもお約束。
そしてついに…民家の壁を越え、大通り沿いに東の宮神社を目指していた時、ぼくとゆうの体力は底をついた。
「はぁ…もうダメだ…限界…」
ぺたりと大通り沿いの民家の前で尻をつく。体中の血管が倍に拡大し、視力が2倍になったような感覚。抜けるような青空と、背中に張り付くシャツが爽快と不快を同時に連れて来る。ゆうもその場にべたりと座り込み、肩で息をしていた。軽口の一つも無い。
「見えるか…ゆう、ぼくは今視力が倍になってるんだぜ」
へぇへぇと息をしながら南の空を指差す。
「ん…」
なんとか視線だけを南に向けたゆうは、そのまま壊れかけの玩具のように両膝に力を入れ、その場に立ち上がった。そして、座っているぼくの左手を引く。「なんだ…もう行くのか…?」
追っ手は一時は撒いた。これからも走る事があるかも知れない。なら、今は休憩して体力を回復させるのが良いような気がする。
「ん…」
しかしゆうは一向に聞き入れない。元から頑固な所はある。言い出したら聞きゃしない。「わかった。わーかったよ。」
はいはいと無気力に立ち上がる。ちなみにこれはわざとでは無く、体力メーターが空になっている証拠。
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