最果てでもお約束。
意味を理解した。理解してぼくは・・・・クソだ。死ねば良いと思う。
ぼくの脳は一瞬にしてゆうを見捨てて逃げる案の利点を述べ出した。
後年、ぼくはぼくの脳を殺す事にしてタバコを始める。
「こう、早く・・・」
最後までゆうの言葉は聞こえなかった。ゆうの脇腹に、見た事も無い悪趣味な靴がめり込んでいたから。
「お前!」
ぐいとその靴の持ち主の肩を掴む。鼻っ柱を殴ってやろうと思ったんだ。
でもそれは後頭部に受けた一撃で不可能に。
がきっ、と拳では無いものの感触。
恐らくは木刀か何かだろう。アドレナリンか何かのおかげで痛みはあまり無いのだけれど、痛覚が無い事と体が十分に動く事が出来るのは別問題であるらしく、情けない事に後頭部を強く打った衝撃で立っている事も出来なくなった。
まるでビデオカメラ越しに見ているように、痛覚の無い世界はリアリティが無かった。
ぼくは地面に這いつくばったまま、無抵抗で、足の骨を折っていて、脇腹も頭も関係無しに蹴られているゆうをただ、黙って見ていた。
痛みも、音も無い、映像だけの世界。願わくば、早くこの映像が終わりますように・・。
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