最果てでもお約束。

すとん。光の中に着地した。日は微かに色褪せ、逢魔の色を予感させる。昼間は少し汗ばむ最近も、今だけは季節を忘れたよう。
「ん…」
狭い空間から解放された肉体を軽いストレッチでほぐす。体はこれから起こる事を予期して重い。けれど、いつかのように脳まで軽いよりはマシだ。
「こう…大丈夫？」
見掛けに寄らず心配性なのか、アキラがか細い声で呟く。
周囲に人影は無い。そうだろう。何せ今はあの時の焼き増しなのだから。
「今はね」
背伸びをしながら、何かが飛んで来るだろう方向をチラッと見る。やはり人影は見えない。もしかしたら自分の勘違いか？と考えたが、それは更に強い予知感に塗りつぶされた。「よっと」
すたん、とアキラが地面に着地する音。その音はゆうのそれよりも若干重く聞こえた。身長がある分ゆうより重いのかもしれない。
「いやーなんとか撒いたねー」
んぐーと背伸びをするアキラ。ぼくはまだアキラを振り返らない。
「こう、服がドロドロ」

ニヤけ声でアキラが近付いてくる気配。あぁ、それは確かにゆうには無い心遣いだ。
アキラの手がぼくのシャツに触れる前にぼくは振り返った。
「そっちだってヒドいもんだ」