最果てでもお約束。
そう言ってぼくは、本当に久し振りに心から笑った。
そして、目の前にいるアキラに飛び掛かる。体に電気が走った。『今だ』と。
「わっ」
突然の事でびっくりしたアキラが半歩下がる。阿呆、せっかく近かったものを
「ぐっ…」
脳内でアキラに悪態を吐くよりも早く、飛び掛かった右肩の辺りに貫くような痛み。予想…というよりは予知通り。問題はここからだ。
「こう?」
表情に出すつもりは無かったのだけれど、ぼくは特殊な訓練をした兵隊では無い。どうやら先程の痛みは顕著に現われていたらしい。「アキラ、予定通りにな」
痛む右腕全体でアキラの背を押す。
「ちょ…こう?」
まだ足音は聞こえない。アキラには事態が飲み込めていないだろう。だが説明している暇は無い。
「…っつ!」
またも貫くような痛み。今度は左太股の裏。感触からして折れてはいないだろうけれど、これでもう走る事は出来そうに無い。
「こう!」
振り返ったアキラについに見られた。
「早く!予定通りに!」
残念だけれど、不思議な旅人と遊ぶのはここまで。存外に楽しかった。ゆうの事も思い出せた。こうやって後悔していた事もやり直せた。ゆう、守ってやれなくてすまなかったな。
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