最果てでもお約束。
ぼくはこうしたかった。特別でもなんでも無いぼくがしてあげられる事。体を張ってゆうを守りたかった。どんな攻撃からも、どんな言葉からも。それが出来ずにずっと後悔した。今のように走れなかった自分を後悔した。一瞬でも迷った自分の脳に落胆した。何より辛かったのは、約束したのに守れなかった。約束の変わりにはならないだろうけれど、ゆう、今度は出来たぜ。ズキンと今度は右ふくらはぎの裏に痛み。でももう大して痛くない。アドレナリンの分泌か、それとも覚悟の程か。
アキラ、出来るだけ遠くに逃げて。一人くらいは、ここで押さえて見せるから
「っておいっ!」
昔果たせなかった約束を果たしたつもりで感傷に浸っていたぼくの目の前には、ぼくの背後を睨むようにして立っているアキラ。
「ゆう!早く逃げろ!」
ぼく混乱しすぎ。
「こう、違うよ。それは、違う」
表情は険しいのに、その声は裏腹に優しい。
「何が違う!?ぼくが願った通りだ!」
そう、これは、この今は昔ぼくが願った通り。何が…
知らずかばった右肩に置かれた左手にアキラの右手が滑り込んで来る。その手は気持ち悪い程柔らかかった。
「こう、違うよ。一緒に行こう?」
…馬鹿。
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