最果てでもお約束。
「うーん・・・何度思い出してもヤバかったねぇ」
あれこれと晩に食べたい物を妄想していたアキラが思い出したように身震いする。
「だろ」
この町に住んでいる住人の自分としてはそう恐ろしくも・・・いや、よく考えたら勘違いで2回も殺されそうになってた。
「いやぁ、こんな怖い思いをするのは短い人生ですが2回目ですよ」
むぎゅっと眉間に皺を寄せるアキラ。お前どんどんキャラが変わるのな。
「結構運はあるのな。今回のだって、彼が来なきゃまず死んでるとこだ」
間違いない。ぼくは結局焼き増しだってうまくやれなかった。
あの場面で彼が来てくれなかったら、殺されないまでもまずリンチにはあっている。
だからか、この胸のモヤモヤは。ぼくはまた、ゆうを救えなかったのか?
「んー、前の時も人に助けられたからねぇ。結構人徳があるんだよ」
うんうんと頷くアキラ。何かツッコんでやろうかと思ったけれど、よくよく考えるともう2年も旅の生活をしているらしい。要は全部人任せの2年だ。
それをまがりなりにもやってこれたというのは、つまり・・・人徳があるから・・・か?
「う・・・ここはツッコんで欲しかった・・・」
げんなり。お前あれな、人が感心しても次の瞬間にボケるのな。
「まぁひょろっひょろなアキラがこうやって旅できてるんだ。何かテクがあるんだろうなぁとか感心してたんだよ」
「・・・・ぽ」
何故だ?何でそこで赤くなるんだ?
「ま、世の中案外甘いって事ですよんー」
よんーじゃねぇけどな。
「こんな甘い事はもうきっと無いだろうからさ、町を出る時は北からな」
先程アキラに逃げる先として教えたのと同じ事。結局この町を来た方向とは別の方向から出ようとすれば、行き先は北しかない。
「・・・・西に行きたい」
「だめぇー」
もっての他です。確かに今は町のいたる所にいるハンター達も、さっきのメールの対象を探しているだろうからチャンスではあるかもしれない。
そして、この町最強のハンターである彼はぼく等に危害を加えるつもりはないだろう。
しかし、うたた寝町からさらに西に行くのは自殺行為と言えた。
「なんでだめかなぁ。そんなに真睡って所は危ないん?」
んー・・・同じ歳くらいの奴ならこれで通じるのだが・・・
「ファイナルファ○ト」
「はい?」
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