最果てでもお約束。
やっぱり駄目だったか・・・。
「ほら、コンビニは目の前だ。何食べるか決めた?」
「ふ、旦那・・・オレがすっかり忘れてたと思ったでしょ?甘い・・・ちゃんと決めてますよ!」
びっしぃと立てる親指。下品だなぁ・・・。
「言っておくけど、朝行ったコンビニだからもう大丈夫とか期待しないように。バイトは変わってるだろうし、他の客もいるだろうし」
「あいあい。えーと、滋賀から来てる親戚でこっちに来るのは初めて、な」
「うん。そんで晩飯は550円以内な」
聞いた途端にがっくりと膝をつくアキラ。
「・・・・旦那・・・せめて後50円・・・」
ふん、朝コンビニ行った時に600円もする弁当を買おうとしやがったのを忘れるモノか。
我が家では弁当は500円までと決まっている。サービスして550円まで許可しているというのに贅沢者め。

「ありがとうございましたぁ」
朝のバイトの彼程では無いけれど、このコンビニでは恐らく古参のバイトの声を背中で聞きながらアキラを宥める。
「あのな、そもそもコンビニ弁当に600円ってもったいないだろ」
「えぇ・・・しかしですね、その金額よりも欲しい物を得たと言うプライスレス的なモノがですね」
「貴様そもそも働きもせずに贅沢を言うな・・・・よく考えたらこっちは観光まで連れてってやってるんだ」
そうでした。まぁ、観光というかリアル鬼ごっこになっちゃったけど。
「そ・・・それは晩にオレのテクで・・・・ぽ」
え?この小説ってそんな方向に行くんですか?
「いや・・・・あの・・・なんかすいません」
とりあえず謝っておけば間違いないだろうというなんて情けない日本人なわたくし。
まったくこの男は読めない。
真面目な時は一瞬だけれど物凄い真面目さと誠実さを感じるのに、その他の時は限りなく軽い。
一体あれはなんだったのだろうか。あの、追いかけられていた時に感じた変な気持ちは。
アキラは何故か裏切らないと感じたあの気持ちは、一体なんだったのか。
こんな気持ちは、あいつ以外に感じた事は無い。
なんだか・・・・一瞬はアキラとぼくの間に見えない橋が架かったような・・
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