最果てでもお約束。
「このまま西に行く?」
一応聞いてみる。余計なお節介はしたくない。
「うん。ともかく行けるとこまで行こうと思ってるからさ」
またまたアバウト発言。まぁいいや、どうせ直ぐに発つ人だし。
「ならね、”携帯”でぼくを写メっておくといいよ。人に何か言われたら見せる」
「”ぼく”って年には見えないような・・見えるような・・」
死ぬほど恥ずかしい。穴が無いのでこいつに掘らせようかな・・・。
「・・・・人の親切はマネーのかからない限りもらっとくべきだぜ・・・」
「わはははははっ!顔真っ赤にする人初めて見たわははははっ!」
ぼくも本当に腹を抱えて笑う人間は初めてみたけれどね・・・。
「き・・貴重だろ?ほら、早く撮っとけよ」
もうどうにでもなれだ。そら、ほとんど眠ってない人間の顔を写メればいいじゃないか!
謎の人物は、はー、と笑いによってえらく疲労した肺を休ませるように一息深呼吸し、右目に滲んだ涙を拭って(そんなに笑わなくてもいいのに・・)
「撮りたいのは山々なんだけどね、持ってないから。”携帯”」
ゴーゥとあまりにも快晴な頭上を飛行機が飛んで行く。
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