最果てでもお約束。
全身を覆う怖気とは裏腹に熱い体内。
火を噴くような肺。
真綿の詰まったような四肢。
ぼくは真っ暗闇の中、見慣れすぎた背中を走って追う。
すぐに追いつけると思っていた。
かけっこではいつもぼくの方が早かった。
ゆうは運動音痴で。
いつも笑われて悔しがっていて。
それを背中に庇ってやってたんだ。
今はその背を追っている。
必死で。
「ゆう!待て!大丈夫だ!」
何が大丈夫なものか。
ぼくは結局どうするつもりだった?
綺麗事を言うだけだったろう。
ゆうの背中と、その左手に掴まれた少年・・・いや、少女の背中は近くならない。
真睡に架かる小さな橋を渡りきると、ゆうは振り返った。
街灯が2つ小さく揺れる。
「こう!いつも思ってた。オレは守られたくなんて、なかったんだよ!」
ゆうの口が小さく動く。
小さすぎて、何を言っているのかわからない。
「ゆう!戻って来い!ぼくが・・・」
守ってやると、今拒否された事を言おうとして止めた。
もしかしたら、あの時言っていたならば。
そう思うとやりきれない。
ゆうはちょっと笑って、右手に持っていた煌く何かを橋の下に流れる川に投げ捨てた。
そしてまた踵を返して走り出す。
ぼくは、もう追う事が、できなかった。
火を噴くような肺。
真綿の詰まったような四肢。
ぼくは真っ暗闇の中、見慣れすぎた背中を走って追う。
すぐに追いつけると思っていた。
かけっこではいつもぼくの方が早かった。
ゆうは運動音痴で。
いつも笑われて悔しがっていて。
それを背中に庇ってやってたんだ。
今はその背を追っている。
必死で。
「ゆう!待て!大丈夫だ!」
何が大丈夫なものか。
ぼくは結局どうするつもりだった?
綺麗事を言うだけだったろう。
ゆうの背中と、その左手に掴まれた少年・・・いや、少女の背中は近くならない。
真睡に架かる小さな橋を渡りきると、ゆうは振り返った。
街灯が2つ小さく揺れる。
「こう!いつも思ってた。オレは守られたくなんて、なかったんだよ!」
ゆうの口が小さく動く。
小さすぎて、何を言っているのかわからない。
「ゆう!戻って来い!ぼくが・・・」
守ってやると、今拒否された事を言おうとして止めた。
もしかしたら、あの時言っていたならば。
そう思うとやりきれない。
ゆうはちょっと笑って、右手に持っていた煌く何かを橋の下に流れる川に投げ捨てた。
そしてまた踵を返して走り出す。
ぼくは、もう追う事が、できなかった。