現場系男子にご用心!?



好きだよ。



反則だ。耳もとのそれは反則。

アルコールが回った後のどくどくよりも、より早く心臓が動いている。
激しすぎて体まで動いてしまいそうだ。

そのまま床にバタン、と倒れた。
ぼんやりと日焼けた天井を見つめながら、ふと思い出す。

・・・ああ、そうだなぁ。
私が前の男と別れたの、まだ理由があったな。

そう。
もうドキドキしなくなったからだ。

好きだとか、そんな言葉もいつの間にか言わなくなって。
電話するのも、会うのも、だんだんと少なくなって。
そのうちに面倒臭くなって、で、別れたんだっけ。

こんなにドキドキとしたのは、久しぶりだ。
自分では女を捨ててしまったなんて思っていたけど、まだ残ってたんだ。

別にまだ岡田さんの事、好きな訳じゃないけど。

でも、なんだろう。
もしかしたら、好きになってしまうかもしれない。
それはいつになるかわからないけど。

「・・・単純な女」

そう言って、自分を笑う。

たった一言を、耳もとで言われただけでこんなになってしまうなんて。
岡田さんのせいで、心の奥底で眠っていたもう一人の自分が、目覚めたみたいだ。


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