現場系男子にご用心!?
そう言う岡田さんの表情がその声だけで、手に取るようにわかってしまった。
意地悪な笑みを浮かべながら、きっとそう話している。

本当は岡田さんは分かっているはずなんだ。
だけど、私の口から言わそうとしている。

本当は恥ずかしくて言いにくいんだけど、でも、これだけ迷惑かけちゃったからなぁ・・・。
ここは素直に言ってみようか。

「どうしてって・・・。声が・・・聞きたかったから」

私がそう言うと、電話の向こうでゴン、と鈍い音が聞こえた。
明らかにどこかに身体が当たった音。

もしかして転んだ!?

「だ、大丈夫!?」

「ってー・・・。頭を壁にぶつけた・・・。もー・・・、何だよ、言わないと思ってわざと聞いたのに、素直に言っちゃうんだもん。・・・反則。でも、めちゃくちゃ嬉しい」

そう言った岡田さんの声は凄く明るくて、思わずにやけてしまう。
そしてドキドキが止まらなくなった。

本当はもっと話していたいけど、あっちはまだ仕事中だ。
・・・もう切らないと。

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