現場系男子にご用心!?
「聞けて良かったよ、岡田さんの声。・・・じゃあ、もう切るね、これ以上邪魔しちゃいけないから」

「うん、分かった、また頑張るよ。あ、ひとつ最後にお願いしてもいい?」

「何?」

「終わったらさ、里緒奈ん家、行っていいかな?」

「・・・うち!?」

私は慌てて部屋の中を見渡した。
部屋は多少散らかっている。・・・来るまでに片付けられるか!?

「どのくらいで終わりそう?」

「そうだね・・・あと一時間くらいかな。夕飯は気にしなくていいよ、会社で食べたから」

「そっか。じゃあ、うん、わかった。待ってる」

そう言って、電話を切った。

その後、残っていたビールを一気に流し込むと、ハイスピードで部屋を片付けた始める。
とにかく散らばったものは一時的に押し入れに押し込んで、夜だってのに掃除機を掛けて。


そして21時を過ぎた頃、岡田さんはやって来た。

ドアを開けるなり、私をその場で思いっきり抱きしめて。
耳もとで、「あんなこと言われたら、声だけじゃ我慢出来ないよね」って呟いた。

恥ずかしかったけどその時、ああ、凄く幸せだな、ってそう思った。
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