現場系男子にご用心!?
手に持っていたシートベルトが、しゅるんと勢いよく元の位置に戻る。
岡田さんはやけに真剣な表情で私を見つめていた。

そ、それって。
・・・それって、結婚、って事だよね?
私と、岡田さんが結婚するって事・・・?

そこまで考えてくれているのは、嬉しいけど。
でも、なぜ?

・・・どうしてか素直に喜べない。
なぜかある事が引っかかってしまう。

「そんな、今すぐって。結婚ってこう、なんて言うかもっと愛を深めていって、それでお互いの両親に挨拶してさ、それからゆっくりさ」

「挨拶なら、今度の休みにでも行こう。俺の実家そんなに遠くはないし、早めに紹介したかったし」

「・・・ねえ、どうしてそんなに急いでるの?」

岡田さんの話を遮るように、私は聞いた。

・・・そう、引っかかっているのはそこ。
将来を考えてくれているのは嬉しい。
自分をそこまで想ってくれることももちろん嬉しい。

けど、どうして年内中なんて、私が良ければ今すぐにでもなんて、なんでそんなに急がなきゃいけない?
もっと沢山お互いの事を知って、話して、それからゆっくりと決めてもいいじゃない。

それなのに、なぜ・・・?
なんで駆け込むように結婚を?

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