現場系男子にご用心！？
岡田さんは向かいに立ったまま私をじっと見下ろして、何も言わない。
その視線がとても痛くて、思わず目線を下に逸らした。

「・・・ごめん」

そう、ぼそりと岡田さんは漏らす。
そして、身体が包まれた。

工場独特の匂いの中に、岡田さんの香りが仄かにする。
その匂いに安心したのか緊張していた糸が切れて、声を上げて泣いてしまった。

「ど、うして？どうして、岡田さんが謝るの？わるっ、悪いのは、私、なのにっ・・・！」

「俺がいきなり里緒奈を困らすような事を言ったからだよな。それで悩んで、仕事に影響が出たんじゃないか？」

「・・・違うよ・・・ちがう、けどっ・・・」

別に一緒に住む事や結婚について、戸惑いはしたけど困っていた訳じゃない。
ただ、急ぐ理由が知りたかっただけ。

そう聞きたかったけれど、泣きすぎて上手く頭で整理出来ずに話せなかった。

「少し落ち着こうか。その右手じゃ何も出来ないだろうから、嫌かもしれないけど俺の家に行こう」

そんな私を岡田さんは背中をさすりながら宥めてくれた。
そして抱えられるようにして私を立ち上がらせると、ゆっくりと外へ向かった。


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