現場系男子にご用心！？
車の中は、タイヤが道路を走る音しか聞こえない。
岡田さんは信号で止まっている時もただ前を見て、私を見る事はなかった。
何か思い詰めているような顔をしていた。

私は泣きはらした顔を下に向けて、時たま岡田さんを横目で見ながらその時間を耐える。
その時間がとても長かった。
早く着けばいいのに、そう思った。

岡田さんに聞きたい。
岡田さんが焦る理由を、早く知りたい。
家に着くまで、ずっとそんな事を考えていた。


家に着き私をソファーに座らせると、岡田さんはキッチンでコーヒーを淹れ、そして私の前にカップを置いた。
しん、とした部屋の中に、コーヒーのいい香りだけが漂っている。

「少しは落ち着いた？」

「・・・うん」

「良かった。何か必要な事があったら俺がやるから、気兼ねなく何でも言って」

そう言うと岡田さんは煙草に火を付ける。
気持ちを落ち着かせるように大きく吸い込み、そして煙を吐き出した。
聞くなら今しかない、そう思って私は意を決して口を開く。


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