現場系男子にご用心！？
「違うんだよ！よく聞け、別に俺はお前を辞めさせようなんて思っていない。むしろ辞められたら困るくらいだ。だけど、せっかくお前にはもったいないくらいのいい男が出来て、これからって時に離れてしまうのはもったいない、そう思うんだ。俺は岡田くんがお前の事を大切に想っている事も知っているし、お前だってそうだろう？だからその気持ちを大切にして欲しいとそう思っているだけだ」

「課長・・・」

「これはあくまで俺の意見だ。お前がここで会社を選んでも、生活は今までと何も変わらない。だけど岡田くんを選べばお前の世界はもっと広がる。その一歩を歩んだ方がお前の為にもなる。だからもし岡田くんが付いてきて欲しいと言っているのなら、迷わず付いていくべきだと俺は思う。その方が絶対に後悔しないからだ」

いつもは明るくおちゃらけている課長の顔が、真剣な眼差しで私を見つめていた。
その眼差しに昂っていた感情が静かに落ち着いていく。
そして課長の言葉で、濃い靄がかかっていた私の心の中が、すうっと晴れていくような気がした。

「あとな、もしこの街に戻って来てまた働きたいと思うんだったら、お前はこの工場の仕事が分かる奴なんだから、いつでも雇ってやれる。戻って来た時にこの工場が潰れていたらその時は申し訳ないが、それ以外だったら俺はいつでもお前を受け入れてやるから、心配せずに行って来い。・・・・と工場長が言っていた。実はな、お前と岡田くんの事、工場長もさりげなく応援しているんだぞ？あまり姿は現さないけどな」

課長はそう言いながら少し笑った。
まさか、工場長がそう思ってくれているとは知らずに、また涙が溢れてしまう。

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