現場系男子にご用心!?
「工場長が・・・?」

「ああ。普段ここにいないからしらないだろうが、ちゃんと情報は工場長の耳に入っているんだぞ?」

「どうして・・・?どうしてそんなにみんな優しいんですか・・・。こんな私なのに」

「どうして、って、そりゃ今までここで頑張ってきた姿をみんな見てきてたからな。文句は・・・少し言ってたけど、黙々と弱音も吐かずにこの男だけの世界でめげずにやってきたから、みんなお前には一目置いているんだよ」

・・・知らなかった。
みんながそんな風に自分を見ていてくれていたなんて。
嬉しくて嬉しくて、涙が止まらない。

私はなんて恵まれているんだろう。
この工場に入って、本当に良かったってそう思える。

「でも、少しは自分のこれからを考えてもいいと思う。お前は自分の事よりも周りの事を優先する癖があるから。だけど、もういいだろう、たまには自分の事をよく考えろ。まだ時間はあるからゆっくりと考えて行けばいい。でもお前の大事な人生だ、絶対後悔のないようにしろ」

「・・・はい」

「まず第一にな、本当に辞めさせたかったら、こんな所で話なんかしたりするわけないだろ。よく考えろ、馬鹿」

「あは・・・言われてみれば、そう、ですね。・・・本当にありがとうございますっ・・・」

そう言って涙でぐちゃぐちゃな顔で、笑う。
あまりにも酷い顔だったのか、課長は少し噴き出しながら笑った。

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