現場系男子にご用心!?
―――そして年の瀬迫った30日。


ごくり。

私は目の前の紙を前に、息を飲んだ。
それは、もうほとんど記入してある婚姻届。
空欄なのは私の記入欄だけである。

証人はどうやら岡田さんの上司と、東雲課長だった。
・・・課長め、私の知らない間にいつ書いたんだ?

「ほ、本当に書くんだよね?」

「うん。書いて。書かないと夫婦にはなれないよ?」

向かいには早く書けよ、と言わんばかりのオーラを出しながら、ニコニコと笑みを浮かべた岡田さんが座っている。
そのオーラに負けて、ペンを構えた。

じっと岡田さんが見つめる中、空白を埋めていく。
書く手が小刻みに震えて、字がミミズみたいになってしまったけれど、・・・いいのだろうか。

「・・・書いた」

ミスなく書けた事に安心して、ふう、と息を吐く。
私が一息ついている間に、岡田さんが私のハンコをぐぐっと押していた。

「・・・よし、完成。明日、一緒に持っていこう」

「・・・本当に結婚、するんだね」

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