妖警察･白黒〜大妖怪･羽衣狐編〜

{っ!?…貴女、私が視えるの？}


｢私、人より少し特殊なんです。…何があったか、話して頂けませんか？｣


私がそう言うと、女の人は驚いて私を見た。明らかに戸惑っている。そりゃそうだよね。見ず知らずの小娘が、急に話しかけてくるんだもん。


でも、幽霊を見たら話し掛けずにはいられない。小さい頃に"あんな事"が起こってから、私は幽霊を気にかけるようになった。


｢私、小さい頃父と兄を亡くしてるんです。だから、幽霊とか…貴女のような地縛霊を見ると、体が動いちゃうと言うかなんと言うか…ですから!!私に話して頂けませんか!?話したら、気が楽になると思うんです!!それで、成仏とか出来たらなぁって…思うんです…｣


自分の思いを女の人に話す。だって、成仏出来てないってことは、この家に未練があるから。女の人は俯いて、そしてポツリポツリと話し出した。


{私は、高岡春美。私には愛する人がいるの。名前は高岡篤夫。私達は３月に結婚したばかりの新婚なのよ。この家を買って、新しい生活が始まる予定だった…だけど、４月の終わり。私は駅前で通り魔にあって、一瞬で殺されたの…}


女の人ー高岡春美さんーは、手で顔を覆った。その事件はよく覚えてる。駅前通りで起こった通り魔殺人事件。一瞬にして、４人が犠牲になった。春美さんも、その１人だったんだ…。