ドラマチックSボーイ




しかし、彼がデビューしたころは、
彼の人気と劣らないくらい子役の子が私のクラスにいた。



如月 まのか ちゃん。



その子は6歳から子役として活躍していた女優さんで、

学校に来る日のほうが指で数えられるくらい、忙しい子だった。



久しぶりに学校に来たとしても、早退とかで、
友達とかを作る暇なんてなかった。




それが苦しくなったのか、

彼女はとうとう本音を吐いた。



…それを偶然、私が聞いてしまったことにより、

私の夢は終わりを告げた。



―――――――


昼休みにおにごっこで遊んでいた私は
生徒玄関へと逃げていた。



すると、まのかちゃんと、そのマネージャーがいるのが見え、
私はとっさに靴箱を背に身を隠した。




「もうヤダよ…辞めたいよ…。」


彼女は涙声でそう言った。



なんで…?
テレビの中では元気な笑顔なのに…。


芸能界って…楽しくないの?



瞬間、それが私の脳裏にかすんだ。




そして



「…はぁ…仕方ないだろ。それが現実なんだよ。」



マネージャーが面倒臭そうに吐き出されたその言葉に、


私の夢という壁が、ボロボロと音をたてて崩れていった。



"現実"

初めてその言葉を覚えた時だった。




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