ドラマチックSボーイ
近くにあった椅子に私を座らせて、
向かい合わせになるようにして静くんが椅子に座る。
「…驚いた?」
「あったりまえじゃん!!
…どうして、こんなこと。」
私は手を遊ばせながらうつむく。
空調の音が、やけにうるさい。
「……俺がさっきのトークで言ったこと、
当たってるよな?全部。」
「……!!」
『全部』のところに私は眉間にシワを寄せる。
そして、首を小さく縦に振った。
そう…静くんの言葉で気づいた。
いや、真琴さんのメイクで変わった自分を見た時から気づいてたのかもしれない。
私は、静くんと約束を交わした日から、
この世界の現実を知って絶望しても、
心の中にちゃんと、
『女優になりたい』気持ちがあった。
ただ、それを認めたくなかっただけで。