ドラマチックSボーイ




約束が守れなかった理由を聞いた時、


純粋に待ち続けた俺の心が無駄になったような気がした。


再会する前から舞のお母さんから聞いていたけど、

まさかこんな簡単に崩れるなんて思ってもいなかった。



初めて好きな女を憎んだ瞬間。



でもそれはあっという間で。


よくよく考えてみれば昔から舞は他人の意見に流されやすいヤツで、
たった一人の言動がずっと憧れていた世界を、とことん嫌うようにまで傷ついたんだ。




それに、舞を女優にさせるという野望が出来たと
舞のお母さんに伝えた時にわかった事実。



『これ、舞の初舞台。』


そう言って渡された1本のビデオテープに映った舞の姿に、
俺は驚きを隠せなかった。



普段の舞を全く感じさせないほど、
役になりきっている舞。


同い年の新人俳優よりもその演技力はずば抜けていた。




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