ドラマチックSボーイ
6年前に夢を諦めた頃に現れた彼は
傷ついた私を癒してくれた唯一の人だった。
彼だけなら……観てもいいかな。
そう思った。
だって…テレビの中の彼は、
嘘をついているようには見えないくらい、
笑顔が眩しいんだ。
「えー舞って静くんファンなの?」
一緒にいた友達の久美がさらに深く聞いてくる。
「んー…ファンっていえる程詳しくない。彼の"存在"に興味があるってかんじ?」
あー自分でも何言ってんのかわかんない……。
でも、本当に彼のことについては全然わからない。
わからなくても…なんか知ってる気がして…。
そんなモヤモヤの心が晴れる日が
刻々と近づいているなんて、
このときの私は知る由もなかった―――――…。