ドラマチックSボーイ
どうやら家族は、
私の芸能界という小さな憧れに気づいていたみたいだった。
『大切なのは舞のやる気だ。好きなようにやりなさい。』
お父さんは優しく微笑んでそれだけ言った。
「そりゃあビックリはしたわよ?
でも家族全員、いつかそうなるんだろうなって思ってたのよ。」
ママができたてのお味噌汁をテーブルに置く。
お味噌汁の白い湯気が、空っぽの私のお腹をくすぐる。
「何年舞の親やってきたと思うのよ。
小さい頃から女優になる!!って言い続けて、
その夢を諦めてテレビ嫌いになった時でも、
未練タラタラの顔してたわよ?」
「そ、そんな…!?」
あの時は自分自身100パーセント夢を捨て、テレビを嫌いになったつもりだった。
でも本音は、口や態度でいくら否定しても
家族にわかるくらい顔に出ていたんだ…。
なんか、複雑…。