ドラマチックSボーイ




「あら、静くんと舞ちゃんが2人☆」


我が家の勝手な侵入を全く気にしていないママが、
立ち上がった静くんと、ついていたテレビを見比べてそう呟いた。


「あ、ホントだ…。」


画面には、朝のワイドショーで、
昨日私が突然出演した生放送でのやりとりが映っていた。


テレビの中にいる自分を観ると、やっぱり変な感じ。

でも、私は12年前からこれを夢見てきた。

テレビの中に私がいて、その隣には…静くんがいて。


それが静くんと交わした約束。



昨日はその約束通りの『光景』にはなったけど…

まだデビューしてないし、これは『共演』とは言えない。



「…すぐ売れることはないと思うけど…遅くはないんじゃないかしら?」


ママが右手のひらを頬に当て、
『忙しくなりそうね』とため息を吐いた。


ママの発言に、私は正直に同感した。


まさか昨日のやりとりが、早速朝のワイドショーに流れるなんて思ってもみなかった。




< 132 / 257 >

この作品をシェア

pagetop