ドラマチックSボーイ
「あら、静くんと舞ちゃんが2人☆」
我が家の勝手な侵入を全く気にしていないママが、
立ち上がった静くんと、ついていたテレビを見比べてそう呟いた。
「あ、ホントだ…。」
画面には、朝のワイドショーで、
昨日私が突然出演した生放送でのやりとりが映っていた。
テレビの中にいる自分を観ると、やっぱり変な感じ。
でも、私は12年前からこれを夢見てきた。
テレビの中に私がいて、その隣には…静くんがいて。
それが静くんと交わした約束。
昨日はその約束通りの『光景』にはなったけど…
まだデビューしてないし、これは『共演』とは言えない。
「…すぐ売れることはないと思うけど…遅くはないんじゃないかしら?」
ママが右手のひらを頬に当て、
『忙しくなりそうね』とため息を吐いた。
ママの発言に、私は正直に同感した。
まさか昨日のやりとりが、早速朝のワイドショーに流れるなんて思ってもみなかった。