ドラマチックSボーイ
「静くんが『舞を女優にさせたいんです』って言ってきた時は驚いたわ。
12年も離れていたのに舞を…舞の夢まで忘れていなかったなんて…」
「…それほどまでに、俺はあの時から舞が好きだったんだと思います。」
「え…!」
なんの躊躇いもなく言った俺に、舞のお母さんは一瞬驚きながらも、
すぐに微笑んだ。
「夢を叶えさせてくれるくらい素敵な男性(ヒト)に愛される舞は幸せ者ね。」
俺は何も言えず、照れ笑いしか出来なかった。
「蓮見サン!」
リビングのドアを開け、上半身を乗り出す形で着替えたマイが俺を呼んだ。
「…まだ怒ってんのかよ。
超ブサイクだぞお前。」
「なっ…?!
さっさと行きますよ!!事務所に行くんですよね!?」
バタン!
朝から大きな音を立てながら、マイの1日は始まった。
「安心してください。」
狂変した娘の態度を見てまたポカーンとしているお母さんに向かって、
俺は一言残して家を去った。
「俺が、舞を守ります。」