ドラマチックSボーイ



私はこれから起こる九死に一生の体験をまったく予想することなく、
車の後部座席に座りシートベルトをかけた。



「毎回言うけど、ここ高速じゃないからな。
捕まって正体ばれたらどうなるか…」


静くんが最後の警告と言わんばかりにそう告げた。



「わかってるわよ!もう何回も何回もウルサイんだからー。」


鈴さんはイライラしながらエンジンを入れた。


ブロロ…というエンジンがかかった音が聞こえたと思った瞬間、





「しゅっぱーつ☆」
ブロロロロロロ!!!!!!



「――ッ!!」
「ぎっ、ギャァァァッッ!?!?!?」





ジェットコースター並(いや、それ以上?)の速さで出発した。


見た目は何もかも完璧な憧れの女性かと思いきや、
とても雑で不器用な女性。



それが私のマネージャー
滝沢鈴(タキザワスズ)23才。




…これからは電車で通おう。


静くんの言っていた意味が、体験してみてわかった瞬間だった。





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