ドラマチックSボーイ
「…なにやってんだよ。」
静くんが怪訝の目を向けながらこちらへ歩いてきた。
その時の私たちは勝利の祈願と気合を入れるため、
廊下のど真ん中でエイエイオーと叫んでいた。
周りから見れば迷惑極まりない。
「あら、早かったわね。静も打ち合わせ?」
「ああ、CMのな。」
「こっちもCMよ。突然如月まのかと対決することになったけど、
絶対マイが勝ってやるんだから!」
「……そ、か。」
鈴さんの言葉に静くんの表情が変わった。
でもそれはほんの一瞬で、すぐに私に目を向けて言った。
「マイなら大丈夫だ。」
「……っ。」
静くんの大きな手のひらが私の頭を包みこみ、
小さく微笑んだ。