ドラマチックSボーイ
彼女の気持ちをくみ取ってしまった俺は、
思わず緩んでしまいそうになる頬をしまいこんで、
如月まのかの耳に口を近づける。
「だから言ったろ?
…『お前は負ける』って。」
「…ッ!!」
如月まのかの撮影の時に耳元で囁いた言葉をもう一度言う。
案の定、彼女はそこそこ綺麗な顔を大きく歪めて俺を睨みつけた。
俺はその顔をよく見ることもなく愛しい人が休んでいるであろう部屋へと足を進めた。
「どうやら勝ったようだな。」
スタジオの入口にいた楠が微笑む。
「え?如月まのかのチームにいた俺は負けたけど?」
「…おぉ…コワいコワい。」
そんな冗談も言えてしまう俺はどうかしてる。
それくらい…嬉しいから。
後は舞の口から伝えるのを待つだけだ―――…