ドラマチックSボーイ
「ちょっと良かったの?
せっかく良いデビューを飾れるチャンスだったのに。」
化粧品会社からの帰り道、
私と静くんを乗せて車を走らせる鈴さんがバックミラー越しに尋ねる。
さすがにまのかちゃんの悲しみを知ってか、
珍しく運転がいつもより優しい。
「いいんです!私が勝ったっていうことだけで凄く嬉しいし、
まのかちゃんが今まで負ってきた傷を考えたら、
華々しいデビューなんてしちゃいけないです。」
そう…これで良かった。
これからもっと頑張ればいいんだよ。
「…ハアー…静といい舞といい…どんだけ良いこと言うのよ。
似た者同士ね。」
「え?」
「は?」