ドラマチックSボーイ
「舞はさあ……」
私の頬に静くんの大きな手が触れる。
綺麗な静くんの顔が目の前にある。
「…っは、え…。」
うまく、喋れないし、呼吸もできない。
そんな私を見た静くんがフッと微笑みをこぼして、
「鈍感。」
そう、吐き捨てた。
その顔は昨日の静くんとは明らかに違う。
「昨日キスされた時点で疑問に思わない?
俺は誰にでもキスするような軽い男じゃない。」
…彼は今、とても重要なことを言っているのだろうが、
私の脳は重要だと認識すらされない。
この人は本当に、
あの大人気若手俳優の蓮見静なのだろうか。
12年前に私が恋したキッカケとも言える
あの笑顔を見せてくれた滝沢静くんなのだろうか。
「好きだよ、舞」
「………は……?」
私の朝は、
彼の告白から始まった。