ドラマチックSボーイ
「舞ー?向井くんが呼んでるー。」
加奈子に言われて教室のドアを見ると、
1人の男子が立っていた。
……ん…?向井くん?
聞いたことある名前……
「あっ!!」
ガタンッ!!
向井という男を思い出した時、立ち上がった勢いで
椅子が激しい音をたてて倒れる。
クラスのみんなの視線が一瞬私に集まったが、
その間に私は教室の外へと逃げていった。
何も言わない向井くんの後ろをついて行った先は屋上だった。
「あ、のっ…!」
着いてすぐに私は彼に尋ねる。
「向井くん…向井智樹くんだよね?
静くんとよく遊んでた…」
「せいかーい♪同じ高校だってことは知ってたけど、
全然逢わないし話さなかったから久し振りだね。」
フワフワの細い黒髪をなびかせながら、
向井くんは微笑んだ。
私は同じ高校だってことすら知らなかった…。