ドラマチックSボーイ
『静くんの宣伝人』と言っても内容は結構重要なものらしい。
人気俳優・蓮見静に少しでも近づこうとする女子は数知れず。
四方八方から話かけてくる野次馬たちから
静くんを守るのが向井くんの役目なんだと、
私はさっきの会話を聞いて瞬時に思った。
昔から信頼する親友だからこそ任せることが出来る役目。
なんか…素敵だな。
「おい、舞。なんでニヤけてんの。」
「え?うそ。」
気付かないうちに私はニヤけてたみたい。
それを「なんだ?」と首を傾げて尋ねる静くん。
『2人って仲がいいんだなって思って』
なんて言ったら怒られると思い、咄嗟に目をそらした。
「ま、別にいいけど、
頼みは智樹が言った通りだ。
俺の勝手で悪いけどしばらく黙ってて。」
しゅん、とした顔で微笑み私の頭をポンと撫でた。
「うん。へーきだよ!」
私は出来るだけ満面の笑みで応えた。
そう、向井くんの話を聞いたから大丈夫。
秘密にするのは静くんのためだけじゃなくて、
私に迷惑をかけないためでもあるんだって知ったから…。