ドラマチックSボーイ
「…………。」
それを聞いた賢一はからかう言葉が出なかった。
いや、出してはいけないくらい、
バックミラーに映る静の表情は本気に満ち溢れていた。
そんな返事がない賢一に疑問を感じた静は問う。
「あれ、『嘘だろ?』とか言わないんだ。」
「…何年お前と一緒にやってると思ってんだ。
どーせ『嘘だろ?』とか『やめとけ』とか言ってもやるんだろ。」
「ふっ…さすが俺の右腕。」
「ありがたきお言葉。」
見事に当てられた静は驚きながらも、
賢一から一生離れることはないな
と誓った。
「あとその好きな女の心も手に入ればいいけどね。」
「…お前なら女優にすることよりもスグ出来るだろ。」
「……どーだか。」
そうそう聞かない静の自信のない言葉に賢一は目を丸くした。
久し振りに見た静の『ガキらしさ』に
賢一は今後が楽しみになってきた。