君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
柿ピーと茎ワカメ

 次の日、あたしは学校を休んだ。

 ズル休みしたわけじゃなく、本当に体調が悪かったから。

 あの後、亜里沙が家まで付き添ってくれて、『学校で急に具合が悪くなった』ってお母さんに説明してくれた。

 すっかり弱ってグッタリしているあたしを見て、お母さんは風邪だと思ったらしい。

「雨に濡れたりするからよ。ほら、横になってゆっくり休んでなさい」

 そう言ってお粥をつくってくれたんだけど、あたしはほとんど食べられなかった。

 別に、まずくて食べられないんじゃない。

 ……いや、まずいのは確かにまずいんだけど。実はうちのお母さん料理ヘタだから。

 でもそうじゃなくて、物を食べるって行為そのものが、辛かった。

 自己嫌悪みたいなものが強くて、自分が物を食べることにすら罪悪感を感じてしまう。

 朝になっても水分補給が精一杯のあたしの様子を見たお母さんが、学校に休む連絡をしてくれた。

 ずっとベッドに横になっていると、寝返りをうつたびにギシギシする音が、まるで悲鳴みたいに聞こえて神経に障る。

 平日の日中っていう、普通なら学校にいるはずの時間帯の自分の部屋って、すごく他人行儀だ。

 見慣れてるはずの天井や、壁や、机が、妙に空々しく感じる。

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