君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨

 そんなの、どうやったって避けられない。

 そして関わり合ってしまった他人の世界は、こんなに複雑で、どうしようもなく厄介だ。

 自分以外の世界に関わらなければ……こんなに苦しむこともないのに。

 自分以外の世界と関わらずに生きていけたら、どんなに楽だろう。

―― ピンポーン

 玄関のチャイムが鳴って、あたしはハッと我に返った。

 ああ、またボーッとして不幸な思考に囚われていた。……亜里沙が来てくれたのかな? 

 あたしはソファから立ち上がり、インターホンで対応した。

「はい」
「……向坂?」
「…………」

 とっさに、返事ができなかった。

 インターホンの画像に映っている人物を、信じられない思いでポカンと凝視する。

「凱斗?」

「ああ」

「……え? あれ? な……?」

「具合悪くて学校休んだって聞いて」

「…………」

「大丈夫かなって心配になって」

 え? え? え?

 それって、あたしを心配して、わざわざお見舞いに来てくれたってこと?

 ……え!? ほんとに!?

< 124 / 274 >

この作品をシェア

pagetop