君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
そんなの、どうやったって避けられない。
そして関わり合ってしまった他人の世界は、こんなに複雑で、どうしようもなく厄介だ。
自分以外の世界に関わらなければ……こんなに苦しむこともないのに。
自分以外の世界と関わらずに生きていけたら、どんなに楽だろう。
―― ピンポーン
玄関のチャイムが鳴って、あたしはハッと我に返った。
ああ、またボーッとして不幸な思考に囚われていた。……亜里沙が来てくれたのかな?
あたしはソファから立ち上がり、インターホンで対応した。
「はい」
「……向坂?」
「…………」
とっさに、返事ができなかった。
インターホンの画像に映っている人物を、信じられない思いでポカンと凝視する。
「凱斗?」
「ああ」
「……え? あれ? な……?」
「具合悪くて学校休んだって聞いて」
「…………」
「大丈夫かなって心配になって」
え? え? え?
それって、あたしを心配して、わざわざお見舞いに来てくれたってこと?
……え!? ほんとに!?