君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
という、言うに言えない恥ずかしい事情を抱えて、ひたすらパニクる。
「いいんだ。気を遣わないでくれ。じゃあ、俺はこれで……」
「待ってってば! いま玄関開けるから、少しだけ待ってて!」
あたしは叫んでインターホンを切った。
急いで洗面所に向かおうとしたら、スマホの着信音がポケットの中で鳴り響く。この設定音は……。
「亜里沙!」
『あ、奏? そろそろ着いた? あたしの見舞い品』
「見舞い品って、まさか凱斗のこと!?」
『そ。あんたの一番の大好物だよ』
「それならそうと前もって教えてよ!」
『前もって教えたらドッキリになんないじゃん』
「病人にドッキリなんか、いらない! 余計に病状悪化する!」
『声を聞いてるかぎりじゃ、結構元気そうだね。安心した』
「人をパニックに陥らせておいて、自分は勝手に安心しないで!」
『詳しい事情は凱斗から聞いてね。じゃ、お大事に』
言うだけ言って、亜里沙は通話を終了してしまった。
んもう! 亜里沙ってばー!