君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
とにかく大急ぎで洗面所に駆け込み、流水でバシャバシャと乱暴に洗顔を済ませ、玄関に走った。
手櫛で髪を整えながらカギを開けて、扉を開く。
そして心臓をドキドキ高鳴らせながら、目の前に立つ凱斗を見上げた。
「い、いらっしゃい」
「ああ、うん」
「あの、どうぞ入って。いま誰もいないから遠慮しなくていいから」
せっかく来てくれたんだから話したい。一緒に、いたい。
そう思ったあたしは、思い切って凱斗を家の中に招き入れた。
「お邪魔します」
よその家に入る緊張からか、凱斗の表情も微妙に固くなっている。
リビングに案内されて、ぎこちなくソファーに腰掛けて、視線を泳がせている凱斗にあたしは話しかけた。
「凱斗、なに飲む? コーヒー? 紅茶?」
「あ、いいよ。お前病人なんだから動き回んなよ」
「大丈夫。もうだいぶ元気になったから」
実際、亜里沙のドッキリのおかげで一気に血圧が上昇したせいか、血の巡りが良くなっているみたい。
これも亜里沙流の親切と優しさだ。
テキメンに効いたよ亜里沙。ていうか、効きすぎ。