君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
ほら、ね? どうにもならない。
絡み合った世界と世界はこんなにも複雑で、やり切れない。
だからあたしは、繰り返しこう言い続けるしかないの。
「凱斗は悪くないよ。悪くないんだよ」
でも凱斗はフルフルと首を横に振り、その言葉を拒否し続ける。
「悪くないのはお前だ。お前こそ、なにも悪くないのに苦しんでる」
「凱斗……」
「それも俺のせいなんだ。だから俺、これから入江の家に行こうと思う」
「え?」
思いもよらないことを聞いて、あたしはキョトンとした。
家に行く? 入江さんの家に?
意外な発言すぎて、言葉の意図がぜんぜん通じない。
「どういうこと?」
「俺がいつまでもグダグダしてるせいで、みんなが傷ついてるって藤森に言われたんだ。その通りだと思う」
「亜里沙ってば、そんなこと凱斗に言ったの?」
「なによりもお前が傷つくことが、俺は嫌なんだ」
すうぅっと息を吸い、ゆっくりと大きく吐いて、自分を励ますみたいにして凱斗は続ける。
「俺は入江の葬儀に参列しなかった。しなかったっていうか、できなかった。家族葬だったこともあるけど、怖かったんだ」