君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
それは当然、怖いと思う。
入江さんの遺影や棺を、入江さんの家族の間近で見るのはあまりにキツイ。
そんな生々しい『死』の象徴は、誰にだって衝撃が大きすぎる。
あたしや凱斗の立場なら、なおさらそうだ。針のムシロなんてもんじゃない。
「まずそこから、向き合うことから始めたいと思う。今からでも入江に手を合わせたいんだ」
この一ヵ月、ずっと凱斗は閉じた貝のようにして過ごしてきた。
それは言葉にできないくらい、とても辛い毎日だったと思う。
あたしなんて、昨日の一日だけで寝込んでしまったぐらいだ。
でもそれは言い換えれば、自分を責めることだけで済ませていた日々だった。
責める以外の、なんにもできていない、していない日々。
「俺、縮こまったままのビビリな亀はもう嫌だ。いい加減、手足を出して前に進みたい」
真剣そのものの表情で、声に力を込めて訴える凱斗の表情を見ながら、思った。
入江さんに手を合わせたら、なにかが変わる?
ただの気休めにしかならないかもしれない。
余計に罪悪感を感じるだけかもしれない。
でも……いつまでも、こんな状態は続けられないんだ。
凱斗だってこのままじゃ病気になってしまうし、それが善いことだとは思えない。
もう、なにかをしなきゃならないときなのかもしれない。