君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
その言葉が、あたしの胸に深く響いた。
今までの自分には、なかった世界。
それはどうしても、自分以外の誰かと深く関わり合うことでしか、垣間見ることができないものだ。
「どうして……」
「え?」
「どうして凱斗は、あたしのこと好きになったの?」
聞くつもりもなかった言葉が、ホロリと零れ落ちてしまった。
一度零れてしまえば、もう止まらない。
「あたしたち、どうしてお互いを好きになったんだっけ? 海外ミリテリーが好きだから? バラードが趣味だから? ネコ番組のファンだから?」
思いつくのはそんな理由ばかり。
あたしと凱斗って、どれをとっても『だからなに?』って言えちゃいそうな、そんな薄い関わりばかり。
好きって、恋って、そんな軽いもの?
「…………」
「…………」
あたしと凱斗の間に沈黙が流れる。
わかってる。好きになった理由なんて、答えるのが難しいことくらい自分でもわかってる。
へたに『趣味が似てるから』なんて答えられたりしたら、余計に落ち込むし。
あたしが本当に欲しいものは、理由なんかじゃないって凱斗もきっとわかってる。