君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
手を合わせ終えて、凱斗と並んでお姉さんに向かって頭を下げる。
それまでほとんどなにもしゃべらなかったお姉さんが、やっと口を開いた。
「いまお茶を用意しますから、待っていてね」
そう言って怠そうに立ち上がろうとするお姉さんに、あたしは慌てて声をかけた。
「あ、あの、どうぞお構いなく。お姉さん」
するとお姉さんの眉間が、微妙にピクリと反応する。
「私は、あの子の姉ではないのよ。入江の妻です」
「…………」
一瞬、なにを言われたのか理解できなかった。
キョトンとした頭で、いまお姉さんが言った言葉を反芻する。
あ、いや、お姉さんじゃないって言ってたっけ?
入江の妻? 妻? 妻ってつまり、奥さん?
奥さんってつまり……
え!? お母さん!?
この人、入江小花さんのお母さんってこと!?
思わず口をパカリと開いたあたしの隣で、凱斗も目を見張ってお姉さ……じゃなくて、お母さんを見ている。
ふたり揃って失礼な態度かもしれないけど、でも、この人がお母さんってどういうこと!?