君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
あんまり驚いたから、つい口に出てしまった。
「え!? お、お母さん!?」
「ええ。実の母親じゃないけれど。去年、あの子の父親と結婚したのよ」
それを聞いて、あたしは思い出した。
そういえば、入江さんは早くにお母さんを亡くしたって凱斗が言っていたっけ。
じゃあ入江さんのお父さんは、この人と再婚したんだ。
この、あたしたちとあまり年が違わないような、すごく若い女の人と。
ついマジマジと、どう見ても20代の顔立ちを見つめてしまう。
な……なんて言えばいいのか、よくわからないけど……。
とにかく驚いた。す、すごい、驚いた。
ひたすら面食らっていたら、不意に彼女のカーディガンのポケットから振動音が聞こえた。
ポケットからスマホを取り出した彼女は、画面を見て「あら」とつぶやく。
「ごめんなさい。ちょっと電話に出てもいいかしら?」
「あ、ど、どうぞ」
「よかったら、あの子の部屋へどうぞ。形見分けに思い出の品を持っていってちょうだい」