君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨

 引き寄せられるように覗き込むと、写っているのは、全部同じ人。

 こっちに向かって笑顔を見せている女の人が、色んなポーズで写真立てに収まっている。

「これ、ひょっとして入江さんの本当のお母さんの写真かな?」

「たぶん、そうなんじゃないか?」

「凱斗、入江さんのお父さんの再婚のこと知ってた?」

「いや。だって去年なんだろ?」

 そうか。中学を卒業してから今年まで、凱斗と入江さんは交流がなかったんだっけ。

 じゃあ知りようがない。

「驚いた。あんな若い人と再婚したんだね」

「ああ。俺もてっきりお姉さんだとばかり思った」

「入江さん、お父さんの再婚、どう思ってたのかな?」

「さあ?」

「あんな若い人と? 確かに綺麗な人だけどさ、あの人ほとんど娘みたいな年じゃん?」

「俺に文句言ってどうすんだよ」

「べつに文句があるわけじゃないけど……」

 なんか……いやらしい。

 どうしてもそんな風に感じてしまう。

 女の子にとってこういうのって、理屈じゃないから。

 若い頃のお父さんらしき人が、実のお母さんと並んで写ってる写真も一枚だけあった。

 見れば、たしかにイケメンだから、今でも若くてカッコイイお父さんなんだろうけど。

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