君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
そのことにまた罪悪感を感じる心のどこかで、安心もしている。
この人が悲しんでくれていてよかったって、思ってしまった。
ところが、そんなあたしの思いに反して……。
「なんで? なんであたしが、こんな目に遭わなきゃならないの? あの子が死んだせいで」
聞こえてきた言葉は、正反対のものだった。
思わず顔を見合わせたあたしと凱斗の耳に、どんどん意外な言葉が聞こえてくる。
「そりゃ、ある程度の覚悟はしてたわよ。思春期の女の子の母親になるんだもの。でもまさか、こんなひどい仕打ちをされるなんて!」
誰にも聞かれていないと信じ込んでいる彼女は、スマホに向かって感情をぶつけるように吐き出し続けている。
「あの子ったら、あたしのことイビッて家から追い出そうとしてたのよ!」
グスグスと鼻を啜る音が聞こえる。
その音と一緒に、入江さんの世界の、秘密の扉のカギが外される音が聞こえた気がする。
お母さんの涙声が、その扉を大きく開いていった……。