君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
食卓でも、明るい話題を心掛けたわ。
笑顔と会話が絶えないような、楽しい時間をあの子に与えてあげたかった。
なのにあの子、ちっともしゃべらないのよ。
なにを言っても不機嫌そうな顔でムスッと黙り込んだまま、本当に、ひと言も口をきかないの。
しかもあたしが作ったご飯、食べないのよ。
ちょっとだけ口をつけて、いかにも『ああ、まずい』って言いたそうに顔を歪めて、ほとんど残すの。
その後で自分の部屋に籠って、買ってきたおにぎりとかをわざとらしく食べてるのよ。
毎日毎日、一生懸命作った手料理よりも、コンビニおにぎり選ばれるあたしの気持ち、わかる?
食べ残された残飯を、泣きながら捨てるあたしの気持ち、わかる?
洗濯物だって絶対、あの子は自分の服をあたしには洗わせなかった。
あの子、自分の物にあたしが触れるのを、ものすごく嫌がるの。
あたしの服と自分の服が、洗濯機の中で一緒になるの、嫌がるのよ。
まるでバイキン扱い。ひどすぎるわ。
さすがに父親が、見かねて注意してくれた。
『お前のその態度はなんだ! お母さんに謝れ!』って。
そしたらあの子、自分の部屋に閉じこもって、いくらドアの外から呼びかけても出てきやしない。
部屋の中でグスグスグスグス泣きながら、『お母さぁん……お母さぁん……』って。