君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨

 あの人の様子からして、嘘を言っているようには思えなかった。

 息を継ぐひまもないくらい、ヒステリックにわめき散らしていたあの感情は、どうみても本心だ。

 あれはよっぽど長い間、たまりにたまりかねていたんだろうと思う。

 だから、たぶん、全部本当のことなんだろう。

 あたしも凱斗も、入江さんの苦しみと死は、自分の『せい』だと思ってずっと自分を責めていた。

 なのにまさか、入江さん自身も死に関わっていたなんて。

 新しいお母さんが苦しんでいるのも、そして赤ちゃんの死も、入江さんの『せい』。

 ……これはいったい、どういうことなんだろう。

 どんな不思議な巡り合わせなんだろう。

 入江さんは自分を責めたと思う。

 あたしたちにはその苦しさが、悲しさが、つらさが、痛いくらいによくわかる。

 彼女はものすごく、ものすごく、ものすごく思いつめたはずだ。

 じゃあ、もしかして彼女の自殺の本当の原因は、あたしと凱斗じゃなくて……。

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