君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨

 言えないのに。

 言えないから、こんなに苦しむのに!

 言えるはずもないものを、『なぜ言わなかった?』と今さら問うて、それがどうなるというんだろう!

 怒りにも似た感情で強く握りしめた拳から、やがて、ふうぅっと力が抜けていく。

 ……ああ、本当に、どうしようもないんだ。

 投げやりな『どうしようもない』じゃなく、なすすべが無い。

 うつむき、両目を強く瞑って、しぼり出すように吐き出される細い息は、あてもなく宵の空気に消えていってしまう。

 目の前を流れるこの川の水のように、どうすることもできず、ただ悲しくて、無力なんだ。

「これでわかったでしょう? 小花が自殺したのは、本当はあたしのせいなんです」

 あたしはパッと顔を上げて、中尾さんを見た。

 なにを言ってるんだろう?

 だって入江さんが死んだのは、どう考えてもあたしと凱斗のせいなのに。

「あたしがね、小花に希望を持たせるようなこと、言ったからなんです」

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