君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨

 どうしてなんだろう?

 どうして、入江さんのお父さんは再婚なんかしたんだろう。

 どうして、お父さんも新しいお母さんも、入江さんの気持ちが理解できなかったんだろう。

 どうして、中尾さんは入江さんに儚い希望を持たせてしまったんだろう。

 どうして、凱斗はあの雨の日に相合傘を断ってしまったんだろう。

 どうして、あたしと凱斗はお互いを好きになってしまったんだろう。

 どれも、誰にも、責任なんかない。

 誰が悪いわけでも、罪を犯したわけでもない。

 どれもこれも、どうにもならなかったことばかりで、そのあげくに入江さんは死んでしまったなんて。

 これじゃ……あまりに彼女が哀れすぎる。

 だから中尾さんは、あたしを責めずにいられなかったんだ。

 自分を責めずにいられないのと、同じように。

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